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健康生成論
( けんこうせいせいろん )
アーロン・アントノフスキーによって提唱された理論。1980年代までに体系化され、国内では1996年に小田博志によって日本に紹介され、その後山崎喜比古らによって研究がすすめられている。
今まで疾病や病気に向けられてきたアプローチを、健康の回復・維持・増進の観点からアプローチしようとする考え方であり、疾病がある原因(病原や心理社会的ストレッサー)によって生成されるとする疾病生成論に対し、同じ条件、リスクにありながらも健康獲得を可能にするファクターがあることを見出し、このファクターを活性化して健康を保持増進させようとする考え方である。
アントノフスキーは、健康生成の営みの主要な構成要素として、 『特定でなく多様なストレッサーに対応するための種々の資源』と、 『これらを駆使してストレッサーを処理していく感覚』に注目した。 前者を「汎抵抗資源」(GRRs: Generalized Resistance Resources)(具体例:資金, 強い構造(constitution), クリアな自我, 柔軟性のあるコーピングスタイル, 社会的支援(social supports) 等) 、 後者を「首尾一貫感覚」(SOC: Sense of Coherence)と呼ぶ。これは、『自分の内的そして外的な環境は予測可能なのであり、しかも物事は無理のないように見込まれるし、うまくいく高い見込みがあるというような自信、特に、浸透的かつ持続的で、動的でもあるような自信の程度を表現する包括的な方向性である。
健康生成モデルの最も重要な概念はこの2つである。特に後者のSOCは健康生成の問に対する答の中心であり、 アントノフスキーは、その強さが「健康---病気の連続体」上における人の位置を定める決定的な要素であるとした。