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ストレス応答の生理的メカニズム
( すとれすおうとうのせいりてきめかにずむ )
人にはストレスに対抗する生理的メカニズムがある。
ストレス刺激をキャッチすると、ストレスから守るために
さまざまな反応を起こし、生体に色々な影響を与えることとなる。
このストレス防御システムは、主に
『視床下部-下垂体-副腎皮質系』と
『視床下部-交感神経-副腎髄質系』の
2つの系統からなるが、
特に前者は精神症状などにも深く関与していると考えられている。
視床下部-下垂体-副腎皮質系
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視床下部は、ストレスをもたらす多様な刺激を統合する中枢。
ストレス刺激を受けると、視床下部から下垂体に対し
「副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)」の分泌指令を出し、
それによって副腎皮質が刺激され、
『グルココルチコイド』というホルモンが分泌されることとなる。
『グルココルチコイド』は、もとは炎症を抑えたり脳に働きかけたりして
うつ状態に陥るのを防ぐ働きを持っており、
このホルモンが分泌されることでストレス状態の改善が期待される。
がしかし、長期的に『グルココルチコイド』の分泌が続いた場合、
このホルモンを作り続けるために他ホルモンの生産が後回しにされ、
正常な生産を保てなくなる。
また『グルココルチコイド』の過剰な分泌は
記憶や情動と密接な関わりをもつ『海馬』にも悪影響を及ぼし、
その中にある『グルココルチコイド受容体』の数の減少につながり、
正常な働きが妨げられることが示されている。
うつ病患者などでは
この受容体の発見量が低下していることが報告されている。
視床下部-交感神経-副腎髄質系
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また、視床下部は自律神経系にも作用し、
活発化させることによって交感神経が緊張し、
副腎髄質から『アドレナリン』や
『ノルアドレナリン』が放出されることとなる。
これらは血糖や血圧の低下を防ぐように働きかけ、
緊急状態への攻撃や防御に備えられる。
この状態が長引くと、血管の収縮や血流の減少、
動脈硬化が促進、コレステロールの上昇により
脳梗塞や心筋梗塞などにもつながる可能性が高くなる。
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このように、生理的ストレス防御システムが過剰に稼動し続けることで、
精神的、身体的な症状を引き起こす可能性が高くなることが示され、
背後にはホルモンバランスの崩れや、
崩れによるさまざまな生理的反応が影響していることがわかる。
表面上は精神的な症状であっても、
単に精神的なものと片付けず、
生理的機能にも負荷がかかっている状態であると理解することが大切。