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学習性無力感

学習性無力感
( がくしゅうせいむりょくかん )

学習心理学の実験からセリグマン(Seligman)が見出した概念。
「何をしても無理、出来ない」などの無力感は学習によって習得されるという概念であり、
セリグマンはこれに基づいてうつ病発症のモデルを展開している。


<セリグマンの実験>

(1) イヌをハンモックに固定し、電撃ショックを与える
(2) その際、頭上のボタンを押すことによって
   電撃ショックを自ら回避可能な群と、何をしても自ら回避できず、
   受けるショックの長さは全て回避可能な群に依存するという
   回避不可能群の両群を設け、何回か回避学習を繰返す。
(3) 次に上記両群に加えて電撃経験のないイヌ群を追加して、
   二つに仕切りのある箱の一方へイヌを移す。
   なお、イヌは仕切りを飛び越えてもう一方の部屋へ行くことが出来る。
(4) 床からイヌに電撃ショックを与え、隣室に行けば
   ショックを回避することが出来るようにし、回避学習を行う

<結果>
上記三群を比較したところ、(2)の回避可能群と(3)で追加された電撃経験なしの両群は、隣室に逃げる回避行動を学習したが、回避不可能群は全く反応を示さず、されるがままに電撃を受け続け、回避行動の学習に失敗した。

このように何をしても避けられないという状況から無力感が学習され、学習に対する意欲が低下し、後に成功できるはずの場面に出会っても、学習行動が妨害されてしまうということ。
セリグマンはこの学習性無力感の概念からうつ病発症モデルを展開し、自力ではコントロール不能の挫折を繰り返し経験する事によってこのような学習性無力感に陥り、無気力で抑うつな状態になるとした。

ただし、挫折経験を繰り返し経験したヒトすべてがうつになるとは限らない。
自己コントロール不可能の挫折を経験することに追加してその挫折が起こった原因を当事者がどの様に分析するのか、自分のせいにする、環境のせいにするなど、原因をどう分類するか、すなわち原因帰属の違いによって結果に差が出ると考え、原因帰属スタイルを分析し、解釈した。


【原因帰属の三次元】

1. 内的―外的
^^^^^^^^^^^^^^
 原因が自分にあるのか(内的)、
 それとも他人や環境など自分以外にあるのか(外的)を決定する次元。
 わかりやすく言えばそれは自分がダメだったからか、
 それとも他人がダメだったからかということ。

2. 安定―不安定(変動)
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
 原因がいつでも持続して安定しているものなのか(安定的)、
 不安定で時間によって変わるものなのか(不安定)の次元。
 すなわちそれは毎日続くものなのか、
 今日はダメだけど明日は大丈夫など時限によって変わるものなのかということ。

3. 全体―特殊
^^^^^^^^^^^^^^
 原因は全ての場面や状況において共通するものなのか(全体)、
 それとも共通せず特定の場面のみにあるものなのか(特殊)の次元。
 勉強でたとえると、全科目全てできないのか、
 科目によってできるできないが変わるのかということが上げられる。


このように原因帰属を三次元から想定し、この帰属スタイルに基づきコントロール不可能な挫折経験の原因を「内的―安定―全体」に帰属させた場合に抑うつに陥りやすくなると考えた。

 

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