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認知療法
( にんちりょうほう )
ベック(Beck、A.T)によって創始された認知療法は「人間の気分はその人がどの様に状況を理解するかによって変化する」という仮説を出発点にしている。
通常は意識されない認知の歪みが抑うつなどの不適切な感情反応を引き起こしていると考え、この意識せずに浮かびあがってくる思考やイメージのことを「自動思考」と呼び、この自動思考を生み出す、個人特有のパターン、いわば自他環境に関しての人生観や価値観のことを「スキーマ」と呼んでいる。
「スキーマ」は人が幼少期から培った固定的な信念であり、それが不合理的であった場合、その「スキーマ」を用いて様々な状況や刺激のなかで不合理的で歪んだ推論や誤った考えが「自動思考」として生み出されていく。
「仕事でミス(状況)」に対して「いつも失敗、きっとまたミスしてしまう(思考)」が浮き出た場合、その結果「落ち込む(感情・行動)」に繋がることになる。
この真ん中の「思考」にある誤った認知をとらえ、吟味し、最終的に現実的で合理的な認知を導き出すことが認知療法の目標となる。
全体的に
1. 問題点の洗い出しとテーマの設定
2. 自動思考に焦点をあて歪みを修正
3. スキーマに焦点をあて歪みを修正
4. 終結
という流れで進んでいく。
よくみる技法として『非機能的思考記録』があり、起こった状況と、その状況に対する自分の感情や考えを最初に記入し、次に、その状況に対し現実で合理的な思考はなにか考えていく作業を通して、自身の認知を修正していくという技法となっている。
前述の「仕事でミス」の例を挙げると、「ミスはしたが、以前指摘されたミスは繰返していない。またするとは限らない」、「ミスはあったけどそのあとしっかり修正できている。失敗だけではない」など、1つ1つ、その状況に対し現実的で合理的な思考を挙げていくことによって自分の中に潜む誤った認知に気付き、
適切な認知や行動を学習していくことが可能となる。