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〜温泉入浴がストレスホルモンの濃度を下げることを解明〜

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地獄谷のニホンザル、温泉に入ってストレスを緩和
〜温泉入浴がストレスホルモンの濃度を下げることを解明〜

2018年5月

Rafaela Takeshita 霊長類研究所研究員、Michael A. Huffman 同准教授、
木下こづえ 野生動物研究センター助教らの研究グループは、長野県・地獄谷
野猿公苑での調査により、ニホンザルの冬期の温泉入浴がグルココルチコイド
(ストレスホルモン)の上昇を抑制し、ストレス緩和に効果的であることを
確認しました。

本研究グループは、12頭の大人の雌ニホンザルを対象として、4月から6月
の春の出産シーズン、および10月から12月の交尾シーズンに、温泉入浴に
ついて検証を行いました。それぞれのサルが温泉に浸かっている時間を調べ、
どのサルがより長く温泉に浸かるかを確認しました。それと同時に糞を採取し、
糞に含まれるグルココルチコイドの代謝産物の濃度を調べました。これは、
体温調節によるストレスが、グルココルチコイドの濃度に影響を及ぼすこと
が知られているためです。

その結果、雌のニホンザルは、春よりも冬、特に寒さの厳しい時期に、より
頻繁に温泉に入っていることが確認されました。さらに、入浴行動とグルコ
コルチコイド濃度との関連性を比較したところ、入浴が観察されなかった週
よりも観察された週の濃度が低いことが分かりました。この濃度の違いは、
冬期のみに有意な差がみられ、春期は入浴の有無によるグルココルチコイド
濃度の違いはみられませんでした。このことから、冬期においては、温泉入浴
行動によってグルココルチコイド濃度が下がり、エネルギー消費とそれによる
体温低下を緩和する働きがあることが示唆されました。

今回の研究により、ニホンザルでは、ヒトの場合と同様に、温泉によるストレス
緩和効果があることが示唆されました。行動の柔軟性が、寒さへの適応、
さらには繁殖や生存率を高めていると考えることができます。

今後は、血清や唾液を用いた解析を行うことで、ストレスレベルのより詳細な
変化を検出できると期待しています。


Beneficial effect of hot spring bathing on stress levels in Japanese macaques
Takeshita, R.S.C.; Bercovitch, F.B.; Kinoshita, K.; Huffman, M.A.
Primates 2018年4月3日掲載

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