メンタルヘルス対策・EAPのカウンセリングストリート 企業・組織とメンタルヘルスの両面に精通した視点でEAPコンサルティングを推進します |
||
2018年3月
東京大学大学院医学系研究科精神医学分野の
越山太輔大学院生、笠井清登教授、
大阪大学大学院連合小児発達学研究科の橋本亮太准教授らの研究グループは、
磁気共鳴画像法(MRI)を用いた研究により、
統合失調症をもつ人にみられる社会機能障害に、
大脳皮質下領域〔1〕における神経回路のかなめである視床〔2〕の
体積異常が関与することを世界で初めて発見しました。
これまでに統合失調症をもつ人で視床の体積低下がみられること、
視床に脳梗塞が起きた人で社会認知機能が
低下することは知られていましたが、
統合失調症における視床と社会機能との関連性は明らかでありませんでした。
統合失調症において、大脳皮質下領域に存在する視床の体積が健常者に比べて小さい
という既知の報告を再現するとともに、
統合失調症の社会機能障害に、大脳皮質下領域における神経回路のかなめである
視床の体積異常が関与することを新たに見出しました。
本研究結果は、統合失調症を持つ当事者にとって
社会生活の支障となっている社会認知機能(社会通念や文脈の理解)や
日常生活技能(金銭出納やコミュニケーション能力)の障害の基盤として、
視床を中心とする神経回路の機能不全が重要であることを示した
初めての報告です。
これにより、統合失調症の病態解明の一助となるとともに、
統合失調症の社会生活機能リハビリテーション法の開発に貢献すると考えられます。
参考文献:Role of subcortical structures on cognitive and social function in schizophrenia