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2008年4月
東芝深谷工場(埼玉県深谷市)の男性技術職員(当時37)が自殺したのは長時間労働など業務上のストレスで発症したうつ病が原因として、熊谷労働基準監督署が労災認定していたことが分かった。代理人弁護士によると、「同じ職場で同時期に別の社員が精神疾患になり、労災認定を求めて裁判中で、関連社員も1人自殺している。」とのこと。
男性は90年に技術職として入社し、00年10月に深谷工場に異動。01年1月ごろに液晶基盤の製造ラインの立ち上げ業務に携わりはじめてから、業務量が増加。同年10〜11月にうつ病を発症し、12月に青木ヶ原樹海(山梨県)で自殺した。
遺族は06年10月に労災を申請。08年3月に認定された。
会社側は「タイムカードの保存期間が経過した」などとして、労働時間の記録を提出しなかったが、同労基署は、妻が詳細に記録していた男性の出勤時間や帰宅時間などを考慮し、「うつ病を発症する半年以上前から、恒常的に1ヵ月あたり100時間前後の時間外労働が続いていた」と認定した。
東芝広報室は「労災認定されたことについて、これを事実として受け止め、今後対応していきたいと考えている」としている。
【一言コメント】
男性の自殺を引き起こしたうつ病は、長時間労働などが原因として労災が認定された事例。
「妻の日記」により、恒常的に100時間前後の時間外労働をしていたことが立証された珍しいケース※です。
今回は国の労災が認められたケースですが、メンタルヘルス障害発症で企業が訴えられ、賠償責任を負うこともあるのです。(→メンタルヘルス障害発症で企業が訴えられ、敗訴したケースはあるのか?)
上記のような過度な時間外労働等、社員に精神的負荷を与え発症のリスクを高めるような状況、おありではないでしょうか?リスクマネジメントの観点からも、一度ご状況を確認されてみては如何でしょうか。
※「時間外労働」は通常、会社側と本人側双方の記録を基に認定されますが、今回は本人側の記録である「妻の日記」のみで認定されました。
なお、労災認定における「時間外労働」は、あくまでも “本人が行っていた実際の労働時間” に基づいて認定されます。人事が把握するタイムカードなどによるデータに基づいて認定されるのではなく、パソコンの通信履歴や、業務関連の電話履歴などの “物証” に基づいて認定されるのです。