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258号 ストレスチェック後の重要課題 組織分析(その活用について)

2018年8月31日

そろそろ夏も終わりが近づき、秋の気配を感じるころになりました。
今年の夏は台風や水害、記録的な猛暑など厳しい季節でしたね。
体調を崩されたり気力も落ちてしまいがちな時期です。
皆様そして社員様ひとりひとりが健やかに過ごすことができますように。

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本号のトピックス ====================================
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1.ストレスチェック後の重要課題 組織分析
その活用について
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2.メンタルヘルス ニュースピックアップ

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1.ストレスチェック後の重要課題 組織分析
その活用について
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厚生労働省の発表(2017年7月)では、ストレスチェック制度の実施義務
対象事業場のうち89.2%の事業場がストレスチェック制度を実施し、そのうち
78.3%の事業所が組織分析を行ったとの報告でした。

組織分析は「義務」ではありませんが、
約80%の企業が組織分析を行っていることがわかります。

皆様の会社では組織分析の結果を十分に活用できていらっしゃいますか?

上述の組織分析実施率の高さの背景には、
ストレスチェックテストの結果報告として組織分析も組み込まれているため、
自動的に実施されているケースが内在していることも考えられます。

しかし、組織分析はデータを入手するだけでなく、活用して初めて価値がある
のです。

皆様もすでに何度もお読みになられているかもしれませんが、
いわゆるストレスチェックテストの『指針(※1)』には下のように書かれていま
すね。

『新たに創設されたストレスチェック制度は、これらの取組のうち、特に
メンタルヘル ス不調の未然防止の段階である一次予防を強化するため、
定期的に労働者のストレスの 状況について検査を行い、本人にその結果を
通知して自らのストレスの状況について気付きを促し、個々の労働者の
ストレスを低減させるとともに、検査結果を集団ごとに集計・分析し、
職場におけるストレス要因を評価し、職場環境の改善につなげることで、
ストレスの要因そのものを低減するよう努めることを事業者に求めるもの
である。』

 (※1)心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に
基づき事業者が講ずべき措置に関する指針(改正 平成30年8月22日 心理的な負担の程度を
把握するための検査等指針公示第3号)

つまり、事業主はストレスチェックテストを実施することにより、「従業員個々
人への対策」と「職場環境の改善によってストレスの要因そのものを低減する
こと」が求められているのです。

では、具体的に職場環境の改善のために、どのように組織分析の結果を活用すれ
ばよいのでしょうか。
ヒントは『横ではなく縦』です。

『横』というのは組織間の比較のことです。
組織分析は、事業場の組織ごとに比較して、良い組織と良くない組織を探し出す
ことが目的ではありません。
それぞれの組織ごとに現状をしっかりと把握し、分析、改善をしていくことが
大切です。
またこの時、指針にもあるように当該集団の管理監督者等に不利益が生じない
ように配慮することも大切です。

『縦』というのは経年変化のことです。
ストレスチェックテストも2015年12月の義務化施行からすでに3年目になり
ました。
それぞれの組織について毎年の結果がどのように変化してきたか、改善できて
いるのか、課題は解決方向に向かっているのか、変化に着目して再検討できる
時期に入ってきています。

my-Mentalの組織分析では組織が抱えている問題そのものを
次のカテゴリーでフィードバックしています。
・上司マネジメントの問題
・人事評価の問題
・自己能力認識の問題
・職場関係性の問題
・業務負荷認識の問題
・役割責任の問題
これらのカテゴリーは、メンタル不調を引き起こしやすい要因として、
研究で明らかになったもので、具体的に問題と改善点を表記してありますので
正に組織改善につなげやすい内容になっています。

弊社では、オリジナルのストレスチェックテストー my-Mental ― のご提供
に合わせ、きめ細かなコンサルティングをいたしております。

my-Mentalおよび組織分析の活用方法について、詳しくお知りになりたい方は
是非貴社担当のアカウントマネージャーにご連絡いただくか、
このメールにご返信ください。

 

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2.メンタルヘルス ニュースピックアップ
最新の情報やメルマガの内容に関連のある情報を
お伝えします
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統合失調症の労働状態の推定法の開発
- 病前からの認知機能低下(※2)の推定値による確率モデルの有用性 -
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大阪大学大学院連合小児発達学研究科の橋本亮太准教授らは、
1)病前からの認知機能低下の推定値が労働時間と関連することを見出し、
2)病前からの認知機能低下の推定値を含む関連要因により、週当たり一定
時間以上働ける確率を推定する方法を開発しました。
本研究で示す確率モデルに基づいて、その将来的な労働環境の適正化に
役立つ情報を提供することができます。従って、統合失調症患者の社会復帰
可能性について、患者やその家族への適切なフィードバックがなされ、より
よい精神科医療の実現に貢献すると考えられます。

 研究の背景
統合失調症は約100人に1人が発症する精神障害です。幻覚・妄想などの
陽性症状、意欲低下・感情鈍麻などの陰性症状、認知機能障害が中核的な
症状であり、多くは慢性化・再発の経過をたどります。さらに多くの患者に
おいて、発症後、認知機能の低下が見られ、それが患者の自立した生活や
社会への復帰、特に労働状態の回復を困難にしています。しかし今まで、
病前からの認知機能低下の推定値を因子として組み込んだ労働状態の推定
は行われていませんでした。また、実際に推定を行い、その結果を統合失調
症患者やその家族にフィードバックする方法も提示されていませんでした。
 
 研究の内容
本研究では、1)労働状態と関連する要因について病前からの認知機能低下
の推定値を中心に検討し、2)有効な因子を用いて労働状態の推定を実践する
ことを目的としました。解析の結果、病前からの認知機能低下の推定値は
労働状態の推定に有効な変数であることが確認されました。またロジスティ
ック回帰分析のモデルから得た推定式から、認知機能低下の推定値とともに
有効だった因子(精神症状と社会機能)を用いて、各患者が基準値以上働け
る確率についても推定する方法を提示しました。

 本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)
本研究で提示した労働状態についての推定法により、統合失調症患者や
その家族が、患者の社会復帰について有用な情報を得ることができます。
患者と医師で情報を共有して、治療方針を決めることを共同意思決定
(Shared decision making: SDM)といいますが、精神科医療ではこの根拠
となるような情報が少なく、まだまだ十分に普及しているとは言えない状況
にあります。このような情報を患者・家族・支援者と医師で共有することに
よって共同意思決定が普及することが期待され、患者の治療への動機付けや、
その家族まで含めた生活の質の向上にも大きく貢献すると考えられます。

  ※2 病前からの認知機能低下
ウェクスラー式知能検査で得られた現在のIQから推定病前IQ(JART: Japanese Adult
Reading Test)との差を病前からの認知機能低下の推定値とし、それがマイナス10点
以上の場合、認知機能低下が生じていると定義される。

本研究成果は、米国科学雑誌Schizophrenia Researchに平成30年6月28
日(午後8時:日本時間)に発表されました

        ※プレスリリースより一部抜粋して掲載しております