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−精神・神経疾患の病態解明や治療の進展につながる成果−

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脳の形成過程で神経細胞同士が集合するメカニズムを発見
−精神・神経疾患の病態解明や治療の進展につながる成果−

2017年3月

慶應義塾大学医学部解剖学教室の仲嶋一範教授、大学院医学研究科の松永友貴(大学院生)、
野田万理子元医学部特任助教らの研究グループは、九州大学および名古屋大学と共同で、
脳が形成される過程において神経細胞同士が接着力を強めて集合する新しい「しくみ」 を発見したと発表した。

私たちの脳の知覚、思考、記憶など、脳の高次機能を司る大脳皮質では、
神経細胞がきれいに6層に配置されている。
この層構造が正しく作られるために、リーリンと呼ばれるタンパク質が必須であり、
この層構造が正しく形成されないことが、
さまざまな精神神経疾患の背景に存在している可能性が近年注目さている。
ただし、リーリンの機能の詳細は分かっていなかった。

仲嶋教授らの研究グループは、リーリンが神経細胞同士の接着を一時的に強くすることを発見し、
その分子機構を見出すとともに、この現象が脳の層構造を正しく作るために重要であることを明らかにした。

また、リーリンによる接着力の増強 は、
N−カドヘリンという細胞接着分子を介して行われることを発見した。
N−カドヘリンの機能を阻害すると、リーリンを加えても神経細胞は集合しなくなることから、
リーリンが N−カドヘリンを使って神経細胞同士を接着させ、集合させることがわかった。
しかし、実験では
「リーリンが神経細胞間の接着力を高めて集合させる」機能だけでは説明がつかない結果が得られ、
再度検討した結果、リーリンによる神経細胞の接着力増強は持続的なものではなく、
一度強まった接着がその後弱まるという一時的な現象であることが明らかになった。
また、神経細胞間の接着力増強がその後弱まらなかった場合、脳の層構造形成が乱れることが明らかになり、
正しく脳の層構造が作られるためには、
リーリンによって起こる神経細胞間の接着力増強が、その後に弱くなる必要があることが示された。

リーリンは脳の形作りだけではなく、
統合失調症、自閉症、てんかんなど多くの精神神経疾患との関連が示唆されている。
今回の研究成果は、これらの疾患の病態解明や治療に有益な情報をもたらすことが期待される。

 

脳の形成過程で神経細胞同士が集合するメカニズムを発見

 


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