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256号 ストレスチェック後の個人結果フィードバックの真の目的とは

2018年6月14日

いよいよ雨の季節がやってきます。
明後日は、72候の、「梅子黄 (うめのみきばむ)」です。
青かった梅が雨にあたり、次第に熟し黄色くなってくる頃。
この頃の雨を「梅雨」と称していたとのことです。
雨はいやだと思うことが多いですが、青梅に降る雨を想像すると
ちょっと清々しい気持ちになりますね。

さて、今月はストレスチェックの個人結果を
テーマとして取り扱いと思います。

さて、ここでクイズです。
ストレスチェックを受検すると本人に結果が戻されます。
さて、その各人の個人結果の閲覧に関して、次のうち正しいのは
どれでしょうか。(個々人からの同意がない場合を想定)

1 個人結果は、産業医は実施者でなくても閲覧することができる
2 個人結果は、実施者のみが閲覧することができる
3 個人結果は、実施者と人事担当者が閲覧することができる
4 個人結果は、実施者と一部の社員が閲覧することができる

正解は本文に記載いたしました。

※研修体験会のご案内もあります。

 

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本号のトピックス ====================================
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1.ストレスチェック後の個人結果フィードバックの真の目的とは
今年のテストを考えるために
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2.研修体験会のご案内
お客様のご要望に応じた研修体験会
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3.メンタルヘルス ニュースピックアップ
じっくりと考えた後の失敗こそが学習を促進する
〜「早とちり」の弊害をネズミ試験で検証 〜
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1.ストレスチェックテストの内容は
今年のテストを考えるために
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クイズの答えはいかがでしたでしょうか。
今回はちょっと難しかったのではないでしょうか。
正解は、
4の「個人結果は、実施者と一部の社員が閲覧することができる」です。

念のため、一つずつ解説をしたいと思います。

1 個人結果は、産業医は実施者でなくても閲覧することができる
産業医であっても実施者でない場合は、本人の同意が必要になります。

2 個人結果は、実施者のみが閲覧することができる
実施者以外にも可能な人がいます。

3 個人結果は、実施者と人事担当者が閲覧することができる
人事担当者が閲覧できるのは、本人の同意がある時のみです

4 個人結果は、実施者と一部の社員が閲覧することができる
実施者と実施事務従事者(社員がなります)が閲覧をすることができます。

ということで、4が正解となります。
ちなみに、「実施事務従事者が誰なのか」については、事前に社員全員に
告知しておく必要があります。

ところで皆さんの会社で使用されているストレスチェックの個人結果は
満足のいく内容だったでしょうか。

個人結果は、自分の今の状態がフィードバックされるものです。
「へえ、こんな状態か」だけで終わってしまうのではなく、
セルフケアに活かし、メンタルヘルス不調のリスクを自ら低減すること
が真の目的といっても過言ではありません。

ということは個人結果をみて、自分のセルフケアは何をすれば良いのかが
分かりやすくないと意味が無いものなのです。

57問のテストでは、個人結果はほぼグラフの提示のみですから、
受検者は、自分でグラフを見て、解釈をし、必要であれば、
自分でセルフケアを考える必要があります。
ただ実際のところ、自分の結果を見て、理解するまではしていると思いますが、
その先の対処までグラフから、考えられる人は少ないのではないでしょうか。
(簡単に対処が分かるようであれば、そもそも問題は抱えないですね)

例えば、57問テストでフィードバックされるのは
「ストレスの原因と考えられる因子」として
・心理的な仕事の負担(量)
・心理的な仕事の負担(質)
・自覚的な身体的負担度
・職場の対人関係でのストレス
・職場環境によるストレス
・仕事のコントロール度
・あなたの技能の活用度
・あなたが感じている仕事の適正度
・働きがい
の9項目です。これらが、「低い−普通−高い」まで、5段階でフィードバックされます。

では、自分の結果で「仕事のコントロール度」が低いとフィードバックされたら
皆さんはどうしますか?

上司に、「もっと自由にしてください」と掛け合いますか?
自分で、「仕事のコントロール度は今でも十分ある」と信じようとしますか?

期待されるセルフケアとはほど遠いものになりそうです。
他の指標についても具体的に考えてみると、なかなかセルフケアに結びつきません。

「ストレスによって起こる心身の反応」というカテゴリもフィードバックされるのですが、
もし、「あなたは不安感が高いです」とフィードバックされたら、
どんなセルフケアが考えられるのでしょうか。

弊社のmy-Mental の個人結果はセルフケアに重点を置いた内容をフィードバックしています。
自分の状態や、改善の為に何をすればよいかが分かりやすく書かれています。
これに加えて、次号で解説予定の組織分析から導き出される職場改善がプラスされれば、
ストレスチェック後の望ましい形になります。

my-Mentalについて、詳しくお知りになりたい方は
是非貴社担当のアカウントマネージャーにご連絡いただくか、
このメールにご返信ください。

次回の実施までは、少し時間があります。
さらに効果の高いストレスチェックになるように、
お話をさせていただきたいと思います。

 

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2.研修体験会のご案内
お客様のご要望に応じた研修体験会
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カウンセリングストリートでは、
ご希望の研修の体験をしていただけるよう、
「ラインケアシリーズ」「セルフケアシリーズ」として
以下の研修体験会をご用意しています。

「ラインケアシリーズ」
・ライケア基礎 <前提知識と早期発見・対処のポイント>
・ハラスメント防止
・職場のコミュニケーション
・ラインケア実践
・義務化ストレステスト実施後の情報交換会

「セルフケアシリーズ」
・新入社員向け メンタルヘルスセルフケア
・ストレス耐性強化
・新入社員向け 社会人のコミュニケーション

体験会は、皆様のリクエストにより、開催をしていきたいと考えております。
http://counseling.st/hr/seminars.php
をご覧いただき、是非お申込みください。

 

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3.メンタルヘルス ニュースピックアップ
最新の情報やメルマガの内容に関連のある情報を
お伝えします
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 4月の入社や異動から2か月がたち、社内に落ち着きがみられてきた
ころでしょうか。一方で、新しい仕事に慣れずに悩まれている方なども
いらっしゃるかもしれません。
ラットの実験の例ではありますが、興味深いニュースを見つけました。
ご参考までにお読みください。

 

じっくりと考えた後の失敗こそが学習を促進する
〜「早とちり」の弊害をネズミ試験で検証 〜
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東京大学大学院薬学系研究科の池谷裕二教授らの研究グループは、ライト点灯
の位置を参考にしながら2つの選択肢から正解を選ぶという二択課題をラットに
行わせ、学習速度の個体差を決定する要素を探索しました。その結果、誤選択
までの時間が長い(つまり、熟慮後の失敗が多い)ラットは好成績を残すこと
を見出しました。

常に変化する環境にうまく適応するためには、柔軟な判断や意思決定を行う
ことが必須です。そのためには、1)決定の適切さ、2)決定の迅速さ、の
少なくとも二つの要素が重要です。しかしながら、実社会では、素早く下した
結論が正しいとは限らないなど、2つの要素は必ずしも両立するとは限りません。
そこで、両要素のどちらが学習成立により重要かを調べるために、同研究グルー
プは、光の手掛かり刺激を活用して2つの選択肢から正しい方を選択させる
課題をラットに解かせました。

ラットが選択するまでの時間(反応潜時)を測定し、各ラットの学習成績との
関係を解析した結果、学習成立前の反応潜時が短い、つまり結論に早く飛びつい
てしまうラットほど、課題の学習成立が遅くなることを見出しました。とくに
誤った選択をする場合にこの傾向が強く観察されました。また、学習過程におけ
る正解(つまり、偶然の成功)の回数は、学習速度とは無関係でした。

同研究により、成功体験そのものよりも、じっくりと時間をかけて考慮したうえ
で失敗するほうが、学習の成立にとって重要であることが示されました。本研究
成果は、生物の生存戦略を考える上での根本的な知見となるだけでなく、動物の
個性を生み出す脳のメカニズムを解明する一端となることが期待されます。

 

Answering Hastily Retards Learning
Yosuke Yawata, Kenichi Makino, Yuji Ikegaya
PLOS ONE 2018年4月25日掲載