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254号 ストレスチェックに潜む「意外な落とし穴」とは

2018年4月20日

春もそろそろ終盤を迎え、今日は、二四節気の春の最後、「穀雨 (こくう)」です。
田畑の準備が整い、柔らかな春の雨が降る頃とのことです。
今年入社の新入社員の方々も少し慣れてきた頃かと思います。

さて、今月はストレスチェックをテーマとして取り扱いたいと思います。

皆様の会社では、既に二回、ストレスチェックを実施されたことと思います。
結果はいかがだったでしょうか。
今年三回目のチェックを行うことになりますが、
改めて、ストレスチェックを考えてみたいと思います。

さて、ここでクイズです。
厚生労働省では、ストレスチェックの実施状況を発表しています(2017年7月26日)が、
それによると、ストレスチェック制度の実施が義務付けられた事業場のうち、
所属の労働基準監督署に実施報告の提出があった事業場の割合は
次のうちどれが一番近いでしょうか。

1 75%
2 85%
3 95%

正解は本文に記載いたしました。

※研修体験会のご案内もあります。

 

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本号のトピックス ====================================
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1.ストレスチェックに潜む「意外な落とし穴」とは
今年のテストを考えるために
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2.研修体験会のご案内
お客様のご要望に応じた研修体験会
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3.メンタルヘルス ニュースピックアップ

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1.ストレスチェックテストの内容は
今年のテストを考えるために
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クイズの答えはいかがでしたでしょうか。

正解は、
2の85%です。

厚生労働省の発表によると、82.9%の事業場から報告があったとのことです。
この実施した約83%の事業場では、
いろいろなストレスチェックが実施されたことと思います。
厚生労働省が標準的なテストとして表記しているいわゆる「57問テスト」を
実施された事業場も多いかと推測します。

では、まず、下記を考えてみてください。
「簡単な知識やスキルのみで、勤務時間中に仕事以外の事を考えながら、
仕事に集中するでもなく、全く自分のペースで仕事をしている社員」
について、皆さんはどのように評価しますでしょうか。

どのように感じられましたか?

いろいろなお考えの方がいらっしゃると思いますが、
こういう社員はちょっと問題かな
あまり望ましくないな
と思われた方が多いのではないでしょうか。

書いてある項目
「簡単な知識やスキル」
「勤務時間中に仕事以外の事を考え」
「仕事に集中するでもなく」
「全く自分のペースで仕事をしている」
は皆さんの会社でも使われたかもしれない、いわゆる「57問」の
ストレスチェックテストから引用したものです。
そして、57問のテストでは、上記の状態が「好ましい状態」として扱われています。

会社としては、その方のキャリアアップの観点からも
・少しでも高度な知識やスキルを修得してもらいたい
・勤務時間中は仕事に専念してもらいたい→休憩時間は別
・仕事に集中してほしい
・自分のペースのみではなく、他とも協調して働いてほしい
とお考えではないでしょうか。

あまり望ましくないフィードバックがご本人に戻されることも
問題となるところですが、こういう設問に答えるということで、
もともとは持っていないような不平不満を導き出してしまうこともあります。

厚生労働省は標準的なテストとして「57問」のテストを表記していますが、
内容をよく確認しないで、実施されてはいませんでしょうか。
会社が実施しているテストですから、
内容は会社から社員へのメッセージとなります。

また、例えば、57問テストには
「一生懸命働かなければならい」
という設問がありますが、
人によっては「仕事とは一生懸命に働くものだ」という理念的なものを考えたり、
あるいは人によっては、自分の状況で考えてみたりと
いろいろな解釈ができてしまいます。

弊社のmy-Mentalではそのような設問がありませんので、
人によって解釈が違うということがありません。

my-Mentalの質問例:
・自分は業務をこなすための知識をもっている
・業務に必要な上司サポートを受けられている
・自分は効率的な業務の進め方ができている
等々
高精度でブレのないテストを提供しています。

次回の実施までは、少し時間があります。
3年目を迎えたストレスチェック、
昨年実施したテストの内容と、御社の考え方が合致しているのか、
是非確認をしてみてください。

 

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2.研修体験会のご案内
お客様のご要望に応じた研修体験会
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カウンセリングストリートでは、
ご希望の研修の体験をしていただけるよう、
「ラインケアシリーズ」「セルフケアシリーズ」として
以下の研修体験会をご用意しています。

「ラインケアシリーズ」
・ラインケア基礎 <前提知識と早期発見・対処のポイント>
・ハラスメント防止
・職場のコミュニケーション
・ラインケア実践
・義務化ストレステスト実施後の情報交換会

「セルフケアシリーズ」
・新入社員向け メンタルヘルスセルフケア
・ストレス耐性強化
・新入社員向け 社会人のコミュニケーション

体験会は、皆様のリクエストにより、開催をしていきたいと考えております。
http://counseling.st/hr/seminars.php
をご覧いただき、是非お申込みください。

 

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3.メンタルヘルス ニュースピックアップ
最新の情報やメルマガの内容に関連のある情報を
お伝えします
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肥満や高脂血症、食生活・運動習慣がうつ病と関連
〜11,876人を対象とした大規模ウエッブ調査で明らかに〜
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国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター(NCNP、東京都小平市、理事長:水澤英洋)
神経研究所(所長:武田伸一)疾病研究第三部 功刀浩 部長
および秀瀬真輔 医師、株式会社ジーンクエストの齋藤憲司 研究員らのグループは、
うつ病と体格、メタボリック症候群、生活習慣が関連することを、
11,876人の日本人が参加した大規模ウェブ調査で明らかにしました。

本研究では、わが国における大規模ウェブ調査により、
体格指数(BMI, body mass index)による分類、
メタボリック症候群関連疾患、食生活・運動といった生活習慣と
うつ病との関連について検討しました。

その結果、
うつ病になったことがあると答えた人はそうでない人と比較して、
肥満や脂質異常症が多く、間食や夜食の頻度が高いことが分かりました。
一方、朝食を食べる頻度や中等度と強度の運動をしている頻度が少ないことが明らかになりました。

今回の研究成果から、生活習慣やそれに基づく身体疾患が、
うつ病と関連することが明らかになりました。
体重の適正なコントロール、肥満やメタボリック症候群と
関連する疾患の治療や予防、朝食をしっかり摂り、間食や夜食を控え、
運動を心がけることが、うつ病において重要であることが示唆されます。

これまでうつ病の治療や予防として、
服薬やストレスの対処などが重要であることが指摘されてきましたが、
当研究の知見から、それらに加えて栄養学的アプローチも
うつ病の治療や予防において重要な役割を果たす可能性を示唆する結果です。

今後は、本研究によって得られたうつ病と関連する潜在的なリスク因子について、
調査することが期待されます。

本研究成果は「Journal of Psychiatric Research」に掲載されました。

参考文献:Association of depression with body mass index classification, metabolic disease, and lifestyle: a web-based survey involving 11,876 Japanese people.

【用語解説】
メタボリック症候群:内臓性肥満(腹囲の増大)に加えて
高血糖、高血圧、脂質異常症のうち2つ以上を呈する症候群をいいます。

 

新たなリズム時計の発見
〜中枢時計より堅固な概日リズムを示す脈絡叢〜
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理化学研究所(理研)脳科学総合研究センター精神生物学研究チームの
内匠透シニアチームリーダーらの国際共同研究グループは、
マウスを用いて、脈絡叢が、中枢時計を司る視交叉上核よりも
堅固な概日リズムを刻むことを発見しました。

私たちの体には、
約24時間周期でさまざまな体内現象のタイミングを調節している
「体内時計」というメカニズムが存在します。
体内時計はホルモンの分泌や代謝、睡眠リズムといった
「概日リズム(1日を周期として起こる体内環境の変動)」を制御しています。
概日リズムに異常が起きると、時差ボケや睡眠障害などの
リズム障害を引き起こすだけでなく、がんや生活習慣病、精神疾患を
引き起こす要因にもなると考えられています。

概日リズムはほぼ全ての生物に存在する基本的生命現象であり、
ヒトを含む哺乳類においては、さまざまな生理機能を制御しています。
哺乳類の時計中枢は、視交叉上核と呼ばれる脳内視床下部に存在する
神経核であることが知られています。

今回、国際共同研究グループは、
リズムレポーターマウスの脳における概日リズムを体系的に調べることにより、
脈絡叢が中枢時計よりも堅固な概日リズムを刻むことを発見しました。
また、組織培養系や遺伝子組換えマウスを用いた実験により、
脈絡叢時計は脳脊髄液の循環を介して中枢時計に作用し、
概日行動リズムを制御していることを明らかにしました。

本成果は、中枢時計である視交叉上核時計よりも堅固な生物時計が
脈絡叢に存在するという驚きの発見であるだけなく、
ギャップ結合を制御する薬剤などにより、
中枢時計を介して概日リズムを操作できる可能性を示しています。
今後、最近注目されている睡眠の意義との関連も注目されます。

今後は、脈絡叢の概日リズムにはギャップ結合を介した
カップリングが関与することから、
末梢組織、脈絡叢およびギャップ結合を制御する薬剤などにより
中枢時計を制御できる可能性が考えられます。
また、脈絡叢から視交叉上核への内因性シグナル分子の同定が期待できます。

本研究成果は「Nature Communications」に掲載されました。

参考文献:The choroid plexus is an important clock component

【用語解説】
脈絡叢:脈絡叢は脳脊髄液を産生し、脳室に分泌する重要な臓器であり、
脈絡叢上皮細胞は毛細血管の血管内皮細胞とともに血液脳関門を形成している。
側脳室、第三脳室、第四脳室のそれぞれの脳室の天井部分で、
血管が脳室上衣細胞を伴って脳室内に進入してできる。

視交叉上核:脳の視床下部に存在する神経核で、哺乳類の概日リズムの中枢。
動物の視交叉上核を破壊すると概日リズムがなくなることが知られている。

概日リズム:約24時間の周期を有する生物リズム。
24時間周期で自転する地球環境に適応するために生物が獲得した
基本的生命現象と考えられている。
地球上に棲むほぼ全ての生物が概日リズムを持つとされる。

レポーターマウス:各種のイメージング手法などを用いて
遺伝子発現をモニターできるマウス。

脳脊髄液:脳室系とクモ膜下腔を満たす無色透明の液体。
髄液とも呼ばれ、脳室系の脈絡叢から産生され、脳の水分含有量を緩衝する。

ギャップ結合:互いに接触した二つの細胞をつないで
イオンなどの小分子を透過させる構造。
二つの細胞の細胞膜が近接した部位に、
タンパク質でできたコネクソンと呼ばれる貫通構造が形成され、
これが小分子を透過させる。
神経細胞では、イオンなどの情報伝達分子を透過させると考えられている。